理事長所信

2023年度 公益社団法人加賀青年会議所

理事長所信

~はじめに~

青年としての英知と勇気と情熱をもって

若者ならではの知恵、年長者が怯むことでも青年だからこそやってやろうという勇気、そして青臭いと言われようが自分が信じて進むことにはやり切ろうという情熱的な気持ちをもって行動する。私自身が行動する上で大事にしていることであり、青年会議所という組織にとっても最も大切なところであると私自身は考えています。

2020年初頭から発生したコロナウィルス感染症によるパンデミックは、私たちの生活を一変させました。コロナ流行以前は、「社会全体の仕組みが変わる」というレベルの大きな変化は、数年かけて徐々に移行し普及していくといったものだったと思いますが、コロナ流行により、私たちはライフスタイルや働き方などの急激な変化を余儀なくされました。このような急激な変化は、コロナが流行しなくても、「そのうち起こる変化」だったわけではありますが、それが「急加速した」わけです。今までの日常が様変わりをし、マスク姿が標準となり、WEBによる会議や商談、リモートワークへの移行、新たな働き方への急速な移行へと繋がっていきました。時間が経つにつれて、withコロナ、afterコロナへと人々の意識の変化も進んでいるように思えますが、事態の終息に向けては今も尚、不透明な状況が続いています。この間に世界情勢は変化し、ロシアによるウクライナ領土への軍事侵攻という「戦争」が勃発しました。世界各国がこれを激しく非難し日本や欧米諸国によるロシアへの経済制裁に及んでいるわけですがその影響は、原材料費の高騰など世界経済ひいては自分達の生活や仕事にも大きな影響を及ぼしています。改めて、我々が生きる時代は先行きが読めない時代となり、そして今現在も、様々な危機に晒されているのです。ではこのような先行きが読めない不透明な時代において我々はどのように行動していけばよいのでしょうか。もちろん手法としては色々あると思います。デジタルの力やその他のあらゆるツールを活用していくことは最低限の条件となると考えますが、これからの時代を先導していく青年としての心構え、気構えとして私は冒頭の、青年としての英知と勇気と情熱をもって行動するということを自身の心の軸にとどめていくことが非常に重要なことであると考えています。先行きが読めない不透明な時代だからこそ青年ならではの知恵を絞り、臆することなく勇気をもち、情熱をもって信じた道を突き進む、その気概を持った人の周りには、社会の変化にただ流されるのではなく、自らが変化し、時代を先駆けていく気概をもった同志が集まり、社会に変革をもたらすことができると私は信じています。英知と勇気と情熱を持って、今この瞬間から最高の仲間と共に行動をスタートさせましょう。

基本理念

~変化を恐れず時代の潮流を先駆けていく組織へ~

青年会議所という団体は何をする為の組織でしょうか。私は「明るい豊かな社会の実現」という崇高な目的のもと、その目的を達成する手法としてメンバーが集い、自己の啓発や相互の意識、知識を高め社会への奉仕を通じて、地域経済、日本経済の発展に寄与する仕組みを学ぶそんな組織であると考えています。

この「明るい豊かな社会」の定義は時代と共に変化しています。現代においては、人間の個性や人格を尊重する社会や、SDGsに代表されるように、誰一人取り残さない、全ての人が幸せを感じられる社会になることが求められるように変化してきていると感じます。このことからも青年会議所はその時代の潮流を読み、時代の最先端を意識し、その時々で変化に柔軟に対応できる組織でなければなりません。固定観念にとらわれ、変化を恐れ、今まで通りの組織ではこの先の時代には生き残ってはいけません。企業に目を向けてみても「今までこういった会社が、こういうことをやるとは思ってなかったよね」といったことが、どんどん始まっています。例えば、家電のイメージの企業が自動車を作り始めたり、自動車産業の企業が宇宙ビジネスに目をむけたりなど、その先を見据えどんどん変化していっています。我々、青年会議所も変化を恐れず時代の潮流を先駆けていく組織でありましょう。異業種の人財がお互いを刺激し合い、青年経済人としての知見を活かしながら、自己の力を高める。20歳から40歳までの幅広い世代の人財が所属するこの組織が、常に時代の変化に対応し、その時々に求められているベストを尽くし、組織や地域を発展させられる方法を思い描き提起していくことで、日本を明るい豊かな社会にしていくことができるのが我々青年会議所なのです。

 

~未来のビジョンを共有する~

我々は明るい豊かな社会を築き上げていくという目的のもと活動をしています。また、青年会議所の使命は青年に成長・発展の機会を提供することだと、JCI Missionで掲げられています。青年会議所のビジョンは若きリーダーのグローバルネットワークであると、JCI Visionに書かれています。では具体的に、明るい豊かな社会とは何なのか、我々は青年にどんな成長と発展の機会を提供するのか、グローバルネットワークの中で、我々はどんな役割を果たすのか、メンバーに共有されているでしょうか。このことが明らかでなければメンバーが一つの方向性に向かって協力していける関係を築くことはできないと考えています。また青年会議所の地域におけるポジションとは何でしょうか。地域社会の中でどのような存在であろうとしているか、このことが不明確だと、我々と共に活動しようとする方々は、何を目指しているのかよくわからない団体との活動を強いられることになり、何も共感が育まれません。外部に対しても我々の立ち位置を明確にする必要があります。そうすることで他団体との差別化となり地域になくてはならない存在によりなると考えています。そうなる為にも、メンバー一人ひとりが組織の理念に共感し他人事ではなくて自分事に捉えて組織の未来の姿を思い描き共有していかなければなりません。自分達の青年会議所はこうありたい、またこうあるべきだ、こんな団体にしていきたい、という意見や考えをメンバー一人ひとりが考え、定義し、話し合い、より良くブラッシュアップを重ね、それを形にして共有していくこと、つまりは全員参加型でこの組織の未来のビジョンを考え共有していくことが重要であると考えています。そしてそのような組織だからこそ、地域の中で悠然と輝く存在として確立されると信じています。

 

基本方針

~加賀JC宣言 加賀維新の先駆けとなれ~

私たちは、創立55周年に「加賀JC宣言 加賀維新の先駆けとなれ!」を発表しました。加賀の未来のために多様な行動を起こす人々が溢れるまちを理想像とし、我々が加賀の新たな未来を切り開く覚悟を示しました。我々青年のアイデアを起点として、加賀に住む人々との間に共感を育みながら、様々な事業を展開し社会に運動を通してインパクトを与えてまいります。我々の想いに共感してくれる人々が「自分も誰かの為に、地域の為に何かができるかもしれない」という想いに繋げる事が出来れば、この加賀をより良くするための多様な行動やアプローチを作る事が出来、未来へと繋げていけます。その先導者としての役目を我々、青年会議所が担ってまいります。加賀の未来のためにアイデアをもって行動を起こす人々が溢れるならば、必ずや加賀は力強く歩みを進めていけます。そしてそのような人々が溢れるならば、どのような社会の変化がおきても強靭で、持続可能な地域へと発展していくはずです。そのような未来を我々は目指していきます。

 

~地域を先導するリーダーであれ~

JCI Visionの中で「行動を起こす青年の国際的なネットワークを先導する」という文章があります。「先導」という言葉には色々な意味がありますが、私は「先頭に立って物事を行ない、他の人や集団を率いていくこと。」であると解釈しています。つまりは「リーダー」という存在に通ずるものだと考えています。リーダーという存在には人それぞれのリーダー像があるかと思いますが、共通して言えることは「先頭に立って人を率いていく」ということです。地域をより良くする運動を展開している我々はまさにそのリーダー集団の組織でなければなりません。なぜならば地域社会を牽引する存在であると自負しているからです。諸先輩方がそうであったように我々もリーダーとしての気質や今の時代が求めるリーダー像を学び、地域社会を引っ張っていくリーダーであってほしいと考えています。そしてJCにはそういった力を高めるプログラムが数多く存在します。その機会を有効に活用する場を提供していきたいと考えています。「同じ釜の飯を食った仲間」という言葉があるように苦楽を分かち合った間柄のメンバー同士が同じ時間を共有することでより相互啓発の機会となり「リーダー」としての力を高めていけると考えています。

~チーム加賀青年会議所~

組織とは人が関わる集合体です。共に同じ目的に向かって力を合わせて活動することによって強みを発揮させたうえに相乗効果を生み、弱みを無意味なものにすることができます。その結果、大きな成果を上げることができると私は考えています。また、違った個性をもった人財が溢れる組織であるからこそ在籍するメンバーもお互いに刺激し合い更なる相乗効果を生むと考えます。私はそんな組織のメンバーの一員でありたいと思いますし、メンバーにもこの組織のチームの一員としてのすばらしさを感じてもらいたいと思います。残念なことにここ数年の間、加賀青年会議所の会員数は激減しました。様々な要因はあります。社会課題による影響も当然あることは周知の事実です。そんな中でも、ここ数年変革を行ってきたように時代に合った組織への変革を行っていくことは、ますます重要であると考えています。そして拡大活動を組織の最重要活動として「断固たる決意」を持って、取り組んでいかなければなりません。メンバー一人ひとりの特徴を生かし、組織化し、戦略を持った拡大活動を展開していく。一人ひとりに役割があり決して誰も取り残さない、加賀青年会議所というチームで全員拡大を行っていく。「チーム加賀青年会議所」という気概を醸成し、輝く個性を持った人財溢れる、誰もが羨む組織へとなろうではありませんか。

 

~共通言語としてのSDGs~

「プラネタリーバウンダリー」という概念が世界で注目されています。グローバル企業の多くがこの概念を取り入れ、企業活動の参考にし始めています。これは、人間が地球上で持続的に生存していくためには、超えてはならない地球環境の境界があるということを明確に示した概念です、既に一部の環境面では不可逆的な変化、つまりは元には戻らない変化が地球に生じているとされています。こういった地球規模での環境問題に対してもその社会課題の解決としての取り組みを推進しているものが私たち青年会議所が推進しているSDGsです。一人またはひとつの企業でやれることには限界があります。しかしながらSDGsという共通言語があれば、ジャンルや立場に関係なく、17の目標に向かって、それぞれが得意な分野で力を合わせて一緒に取り組むことができます。例えば企業の場合、業種などが違っても、コラボレーションしながら一緒にゴールを目指すことで、新たな取り組みを実行することも可能です。これは、人×人、企業×人、組織×組織など、どんなコラボレーションでも言えることです。複数の力が集まり社会に働きかけることができれば、世の中の仕組みやルールすらも変えることができる可能性もあります。我々が推進しているSDGsには社会の課題を解決することで持続可能な未来を創る力があるのです。

 

~人財育成委員会~

子ども達は常々、私たち大人を驚かせてくれる発想をしてくれます。おそらくこれからの子ども達が生きる未来は今と比べより先行きを見通すことができない不透明な時代となり、今までの常識は通用しないそんな未来を迎えるのではないかと思います。そういった中で、私が子ども達にとって大事だと思うことは、自ら考えて行動すること、そして新たなアイデアを発想していくことです。『未来創造事業』では様々な体験や機会を通して、考えて行動するきっかけを与え、新たなアイデアを発想する力を育む事業にしていただき大人たちを感動させていただきたい。また、『わんぱく相撲大会』はこれまでの事業目的を継承することはもちろんのこと、子ども達の心に残る大会となるよう事業構築をしていただきたい。長年継続事業として主催してきた『加賀郷土かるた大会』は本年度から他団体と協力しながら開催することになります。これまで我々に脈々と受け継がれてきた運営面での惜しみない協力を率先して行っていただきたい。

 

~地域活性化委員会~

次々に現れる社会課題に対して、特に私たち地方都市ではその影響が顕著に表れています。これらの課題は一個人、一団体で解決することはもはや不可能になったように思えます。

地域に根差し、地域経済の発展に貢献する我々にとって、これらの社会課題は他人事ではなく自分事として捉えていただく重要な課題であります。我々青年会議所はこれまであらゆる団体と団体を繋げるハブの役割を担ってきましたが改めてその力を発揮し、団体の垣根を超えて共に社会課題の課題解決に対してアクションを起こしていかなければなりません。そして若い力の代表として地域を牽引していなかければなりません。『青年経済人アワー』では市内外で活躍する青年団体を繋げ、行政の取り組みの実態やビジョンを共有しながら社会課題の解決に向けて多様な行動が生まれるきっかけにしていただきたい。新型コロナウィルスによるパンデミックによって都市集中型の問題が浮き彫りになりました。同時に地方の在り方が見直されるきっかけになったと考えています。それぞれの地域が地域の現状を理解し、どのようなまちでありたいのか、自分達のまちの魅力は何かを改めて考え、示していくことがより重要であると考えています。地域の現状を憂うではなく、自身のまちをより良くしていこうと思う、そのような人々が溢れれば、地域の明るい未来へとつながっていくはずです。『地域創造事業』では、地域の現状をしっかりと把握し、地域内外の多様なステークホルダーを巻き込み、共感を基に協働し、地域の新しい価値を共創する事業として頂きたい。

 

~財政特別理事~

我々の事業はメンバーからの会費で支えられています。その貴重な会費がしっかりと効果的に使われるように費用対効果を考えた管理をして頂き、透明性のある財政運営を行って頂きたい。また、メンバー数が年々減少し、予算が縮小されていく中、協賛金や補助金や寄付金、クラウドファンディングといった、様々な方法での財源確保をメンバーとともに推進していただき事業の可能性を広げていただきたい。更に、公益社団法人に関する監督官庁の窓口として申請手続きを行うと共に、今後の継続についても考えていただきたい。

 

~事務局~

組織の中枢として各種会議の設え、運営に携わる事務局にはメンバーの時間をお預かりしているという意識と規律ある組織運営の中心を担っていただきたい。また加賀青年会議所の魅力や情報を外部に発信する為にあらゆる媒体を活用した情報発信を行っていただきたい。理事会では様々なツールを活用し、より建設的な議論を戦わせる場となるように運営を心がけていただきたい。定例会では加賀青年会議所の伝統である規律ある定例会運営はもちろんのこと、月に一度のメンバー全員が集う場として、多くのメンバーに出席していただく為の創意工夫をこらしていただきたい。また拡大活動において、新規会員を迎え入れる為にも重要な『新入会員オリエンテーション』において、今までの資料を精査し加賀青年会議所の規律と魅力の理解の一助となるものにしていただきたい。『新年交流会』では加賀青年会議所の一年の想いをしっかりと地域に発信するための事業としていただきたい。そして『卒業式』ではこれまで加賀青年会議所を支え、導いてきていただいたご卒業生に対し、敬意を持ってメンバー全員で最高の舞台を創り上げる事業構築をしていただきたい。

 

~第53回いしかわコンファレンス~

本年は公益社団法人日本青年会議所北陸信越地区石川ブロック協議会の第53回いしかわコンファレンスが加賀の地で開催されます。加賀の地での開催は5年ぶりの開催となります。5年前とは社会状況が変わり、各種ガイドラインの中で開催方法を模索していくことになるとは思いますが、加賀の魅力を石川の魅力として大いに発信して頂きたいと思います。そして加賀らしさを存分に発揮したおもてなしで県内外の同志との交流を図れるよう企画運営をしていただきたい。

 

~終わりに~

先行きが見えない時代だからこそ、行動してみようではありませんか。

先行きが見えない時代だからこそ、今を疑い変化をしてみようではありませんか。

先行きが見えない時代だからこそ、仲間と共に、本気でやってやろうではありませんか。

支えてくれているすべての人への感謝を忘れずに、今この時を精一杯生きていこうではありませんか。最高の仲間に囲まれ、愛する家族や地域の為に行動できる今を本当に尊く感じます。一人でも多くの仲間とこの想いを共有したい。そしてあなたにも同じ想いでいていただければこんなにも嬉しいことはありません。今、この時代をそしてこれからの未来を「最高の時代」として共に創りあげていきましょう。あなたの為、そしてかけがえのないあなたの大切な誰かの為に。

公益社団法人加賀青年会議所 第59代理事長 髙田 泰裕