理事長所信

2022年度 公益社団法人加賀青年会議所

理事長所信

 

〜はじめに〜

2020年から約2年続き、世界を危機に陥れた新型コロナウイルスの蔓延は、グローバルなインパクトをもたらしました。この予期しなかった危機に対して、ビジネスと社会は重大な脆弱性を露呈し、人々の健康や、日々の生活、企業活動、経済は深刻なダメージを受けました。果たしていつ終わるのか、これから先はどうなるのだろうかと不安が波のように押し寄せ、様々な憶測や噂が飛び交い、更なる不安を煽っています。
かつて人類は天然痘やペスト、スペインかぜなどのパンデミックを乗り越えて進化を遂げてきました。14世紀のヨーロッパではペストが大流行し、当時8000万人いたヨーロッパ人口のうち実に60%が命を落としたと言われています。よく言われる話は、このペストの大流行が、封建社会を崩壊させ、ルネッサンスという創造的時代を形成したというものです。しかし、封建社会のシステムはペストの大流行以前に限界を迎えていましたし、ルネッサンスについても、12世紀のイスラーム文化との接触や、14世紀初めの商業都市の繁栄、東ローマ帝国の滅亡などあらゆるエッセンスが絡み合った結果生まれました。ペストは、既にあった様々な課題や要素を発展させる引き金だったのではないでしょうか。
さて、アフターコロナについて多くの人がそれぞれの意見を述べていますが、新型コロナによって新しく起こったことなどひとつもありません。デジタル化の波も環境問題も、すべては潜在的に存在しており、それが加速し、露呈したに過ぎないのです。
これまで我々は、テストの最中だっただけです。それが今、答案として返ってきただけで、次のテストで良い点を取りたいのならば、間違えた箇所を見直して、何を間違えたかを理解し、改めなければなりません。
「禍福は糾える縄の如し」災いが福になり、福が災いのもとになったりして、この世の幸不幸は縄をより合わせたように表裏をなすものであるということわざです。今の我々も、「ここで受難した分だけ幸福があるのだ」と心のどこかで期待しているのではないでしょうか。
しかし歴史はそれでは社会は何も変わらないことを、例示をもって教えています。
新型コロナウイルスという災いは、今まで顕在化されていなかった問題を見つめ直す機会を与えてくれたのではないでしょうか。それに気付き、様々な課題に取り組んでいくこと、尖ったアイデアでチャレンジし続けることこそ、ピンチを乗り越え、新たな時代を創造していくためのチャンスを掴むきっかけになることでしょう。

【基本理念】
〜チャレンジすることで信頼を築く〜

新型コロナウイルスによる危機はまだ継続していて、完全な終息への道のりは依然として不透明です。しかし、正常な状態に復帰する動きは始まっており、人々の意識も、今後の世界がどう変化するのか、それに対してどう対処すればよいのかという点に焦点が移ってきています。
これからの世界において、我々にはどのような課題と新たな機会が待っているのでしょうか。今回の危機は、デジタル化を加速させ、効率性重視よりも変化への柔軟な対応力・強靭性を重視しなければならないこと、そして人々が健康で充実した生活が送れることが最も重要なのだということに気付かせてくれました。これらの点が相互に関係し合い、今後の社会を織りなす基盤となっていきます。
そのような時代に、我々青年会議所が為すべきことは何なのでしょうか。
ひとつは、チャレンジすることです。時代は大きな変革の時にあります。WEBミーティングやマスク着用での対面などに代表されるように、今までの非常識が常識になり、これからもその変革は加速していくでしょう。我々に求められることは、地域の先駆けになって、今までに散りばめられた潜在的なヒントを元に新たなことにどんどんチャレンジしていくような、先進的な集団になることです。若い世代ならではのエネルギッシュさを発揮することこそ、我々青年会議所の存在意義なのです。
もうひとつは、信頼を再構築することです。デジタル化が進み、従来のように人の集団としての組織をマネジメントすることが意味を失っていきます。そうではなく、スキルを持った自律的な個人が内外のネットワークを使ってコラボレーションすることで社会の課題を解決していく活動がより重要となります。より良い未来に向け、個人同士が信頼によって繋がる、新たな関係性を構築していくことが必要とされているのです。
つまり、我々青年会議所には、若者らしく新たなことにチャレンジし続けることから共感を育み、その共感を信頼へと昇華させ、内外で協力して新たな時代の流れにしっかりと乗っていくことが求められているのです。

~社会課題に取り組むリーダーとなる~

ここ数年で、経済的格差や家庭・教育の環境格差、福祉や医療の限界など、これまで一部の人しか耳にする機会がなかったような多くの「社会課題」が新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけとして顕在化し、SDGsやサステナビリティといった言葉への関心、具体的な取り組みを求める声がさらに高まってきています。また、アメリカで起こったBLM運動など人種やジェンダーの平等についても注目が集まるようになり、多くの人にとってより身近なテーマだからこそ、意見や疑問を主張する人も増え、様々な場面で議論が生じています。

社会課題とはわたしたち一人ひとりの「生活のなかにある問題」であると考えています。社会課題には環境、資源、災害、人権、労働、医療、教育、文化など、本当に多くの分野がありますがどうしても「環境問題」や「少子高齢化」などの大きな括りでイメージしたり、地球規模の問題や国全体の大きな問題ばかりで、「知らない世界の遠い話」に感じたりしてしまうこともあるかもしれません。しかし、このようなまだ顕在化していない問題を放置し続けていると、いつのまにかこの社会で生きるあらゆる人々・生物の生活が脅かされ、私たちは安全に生きていくことができなくなってしまうかもしれません。それくらい、遠いように見えて、実は身近に迫っているものが、社会に潜む「社会課題」です。
これらの社会課題は、「いまだけ、カネだけ、自分だけ」というエゴを積み重ね、少しずつ溜まってきた膿を見て見ぬふりしてきた結果なのではないでしょうか。
我々は、あらためて社会を見つめ直す岐路に立たされています。今、目の前にある脅威も、これから顕在化してくるであろう問題もひとつひとつ解決していかなければなりません。
我々が、社会課題を解決する起点となり、持続可能な地域を創って行かなければならないのです。

 

~怯まず尖り続ける~

価値デザイン社会は、「内閣府知的財産戦略ビジョンに関する専門調査会」において提言された、日本が今後目指していくべき社会のビジョンです。経済価値にとどまらない多様な価値が包摂され、そこで多様な個性が多面的能力をフルに発揮しながら、「日本の特徴」をもうまく活用し、様々な新しい価値を作って発信し、世界の共感を得ることを定義しています。知的財産立国を基盤とし、「脱平均」「融合」「共感」を柱に価値デザイン社会の実現を目指しています。今まで「勝ち」のために「競争」していた、価値観が制約された社会から、脱平均とチャレンジ、自律と分散と融合、多様な人材・組織が集う場の形成、共感と貢献を通して、「価値」のために「共創」する、価値観の開放が進む社会へのイノベーションを目指しています。

価値デザイン社会の概念と青年会議所の理念はかなり近いところにあります。JCIクリードにある、「個性の尊重」は「脱平均」に繋がります。JCIミッションにある「変化を作り出す力」と、綱領の「相集い、力を合わせ」は「分散と融合」に繋がっています。そして、JCIビジョンの「先導的なグローバルネットワーク」は「共感・貢献経済」に繋がっています。

一人ひとりの青年会議所メンバーは、価値を享受するだけでなく、価値を創造する側でなければなりません。私たちが、新たな需要を作り出すことのできる、新たな価値を構想し、デザインしていくことができれば、可能性は無限に広がります。

尖ったアイデアを持ってチャレンジする多様な個性が、お互いに刺激し合い結合し、互いを認め合い、地域の共感を育むことで新たな価値を生み出すことができるのです。

 

【基本方針】

~加賀維新の先駆けとなれ~

創立55周年の時に発表した「加賀JC宣言 加賀維新の先駆けとなれ!」には加賀の未来のために多様な行動を起こす人々が溢れるまちを理想像としています。そのために、我々加賀青年会議所が、地域の人々との間に共感を育み、地域の未来を創るアイデアの実践に取り組むことを、覚悟を持って宣言しました。

現在のような不安定な世の中であったとしても、我々が青年らしく尖ったアイデアを起点に、加賀市内外の人々と共感を育みながら協力し合い、インパクトのある様々な事業に取り組むことで、地域に価値を生み出していきます。その我々の活動が共感を呼び、様々な人々に影響を与え、加賀の未来のために行動する人を増やしていくことができると考えています。

〜SDGsの推進と活用〜

ここ数年で、SDGsとは何なのか、世の中の認知が進んできたのではないでしょうか。具体的な目標を明示することで我々人類が進むべき道を示したSDGsは、ものごとを俯瞰的に考えるきっかけにもなっていると考えます。

これまでの世の中では、儲けを追求することはビジネスの目的そのものだとされてきました。しかし、儲けの追求だけではやりがいや生きがいを感じられないということから、本業の利益の一部を使ってCSR活動に取り組む企業も多かったのではないかと感じます。これに対し、SDGsは、経済活動と社会貢献を両立させることができます。

今の世の中は、社会の課題が新型コロナウイルスの蔓延によって顕在化されてきました。「地球のためになることをしたい」「何かしらの社会貢献をしたい」という人々が確実に増えてきています。だからといって儲けをそっちのけで社会貢献に取り組めません。SDGsは、そんなジレンマを抱える現代人にも簡単にできる社会貢献です。日々の生活の中でもSDGsに取り組む企業からものを買うだけで社会貢献ができるのです。

SDGsには、「豊かな経済は、豊かな環境と豊かな社会の上に花開く」という考え方があります。世界中の投資家が企業のESGに注目しているように、SDGsに取り組み、豊かな環境と社会づくりを目指す企業こそが人々の共感を集め、持続可能な企業を作り上げていくことが出来ます。

我々がSDGsを推進することで、SDGsを活用する企業や個人が増え、持続可能な明るい豊かな加賀を創り上げていくことが出来るのです。

〜組織の価値を最大化する〜

日本に青年会議所が発足したのが1951年。以後、明るい豊かな社会の実現のために、多くの先輩たちが地域のために活動されてきました。しかし、少子高齢化や人口減少、考えの多様化など様々な要素で、加賀青年会議所も少しずつメンバー数が減ってきています。しかし、人数が減ったからといって社会に与える価値も減っているとは私は考えていません。メンバー一人ひとりが輝く個性を存分に発揮し調和することで、地域に変革をもたらす起点となることができるのです。

多様性とは可能性の集合です。歴史に育まれた組織の秩序のもと、様々なメンバーが互いを刺激し合い、尊敬し、認め合うことで生み出されたアイデアは、人々の共感を呼び、きっと大きなインパクトを地域に与えることが出来るでしょう。そのためには、メンバーそれぞれが青年会議所活動を楽しまなければなりません。青年会議所活動では様々な経験ができ、活動を通して多くのものがもらえます。それに本気で取り組み楽しむことで、個人が輝き、加賀青年会議所という組織全体がまばゆい光を放つのではないでしょうか。

光り輝く組織には自然と人が集まります。単にメンバーが増えるというだけでなく、共感した人々がファンになり、応援してくれるようになります。

メンバー一人ひとりが、加賀青年会議所の価値を意識しながら活動を楽しむことで、青年会議所活動においての価値を最大化させていきましょう。

次世代育成委員会

この国の次世代を担っていくのは、子供たちです。我々はその子供たちに何を与えていくことが出来るのでしょうか。

20年前、ようやく携帯電話を一人1台持つようになった頃から比べると、スマートフォンは異次元のテクノロジーです。さて、20年後、科学技術が進歩し、何もかもが3Dで体験出来たり、AIの発達によってロボットが当たり前になっていたり、自動運転の車どころか、車は空を飛んでいるかもしれません。時代は目まぐるしく変わっていきます。

そのような、先の予想が難しい中で我々が次世代の子供たちに伝えるべきことは、想像力を持って新しいことへ挑戦していくことと、個性を磨き成長していくこと、多様な価値観を認め合うことの大切さだと考えます。

未来創造事業では、子供たちの無限に広がる可能性を存分に引き出し、それぞれの個性が調和することでもっと素晴らしいことが起きるということが学べ、明るい未来を担う人財に育つきっかけとなるような事業を行っていただきたい。

わんぱく相撲大会、加賀郷土かるた取り大会では、長年育まれてきた事業目的を継承し、想像力を持って挑戦する機会にしていただきたい。また、子供たちにとって地域にとって素晴らしい事業であるからこそ、未来への継続性も考えていただきたい。

地域活性化委員会

先にも述べた通り、SDGsは多くの人々に認知され、その概念は少しずつ浸透してきたのではないかと感じます。これからは推進して活用していく段階に入ってきます。SDGsの考えを持って行動する個人や組織が増殖していくことが持続可能な社会を形成すると考えます。

様々な課題が顕在化してきた現代社会において、我々青年会議所がすべきは、単発のイベントで終わるものではなく、それがきっかけとなって地域に社会課題を解決するための一種のムーブメントが起きる運動なのです。

変革が加速している現代にとって、地域にムーブメントを起こせるようなインパクトを与えるには、尖ったアイデアを起点として、様々なネットワークを使って共感を育み、より力強い活動を行うことが重要となります。

地域創造事業では、新たな時代の流れをしっかりと汲取り、加賀市内外のリソースを活用し、多くの人々を巻き込んで新たな加賀を創造する起爆剤となるような事業を行っていただきたい。

事務局

定例会、理事会をはじめとした様々な会議を担う事務局は、規律ある正確な組織運営を行なければなりません。そして、事務局は全てのメンバーを理解し、多様性を認め、会を運営していくべきだと考えます。

理事会では、加賀青年会議所の事業を世に出すために、しっかりとルールを徹底させる中でも、短い時間でより有意義な議論を交わせるよう心がけていただきたい。

また、定例会は礼儀と節度を保ちつつも、多様性を認め、全てのメンバーが活き活きと交流が出来る様、設え運営していただきたい。

新年交流会では、新たなスタートを切るにふさわしい、2022年度の加賀青年会議所の決意を表明する場としていただきたい。卒業式では、卒業生のこれまでの活動に敬意を表し、想いを受け継ぐことができる事業としていただきたい。

財政特別理事

我々の事業はメンバーからの会費で支えられています。その貴重な会費しっかりと効果的に使われるように管理して頂き、透明性のある財政運営を行って頂きたい。

また、メンバー減少が叫ばれ、予算が縮小されていく中、よりスケールの大きな事業を行えるよう、補助金や寄付金、クラウドファンディングといった、様々な方法での財源確保をメンバーとともに推進していただきたい。

そして、そのような運営を行うには地域内外の人々の共感と、共感から生まれる信頼が重要です。魅力発信事業では、輝く個性が集まり、素晴らしい事業を行う組織の魅力を多くの人々に伝え、加賀青年会議所のファンを創り出せるよう、発信して行っていただきたい。

特命理事

限られたメンバーで最大限のパフォーマンスを発揮できるようにするには、従来の縦割りではない組織横断的なチーム作りが必要不可欠です。

 そこで本年度は、新たに特命理事という役職を設けます。特命理事には、普段委員会に所属しながら、委員会とは別の事業を担当していただきます。事業の計画・実行の際にはメンバーの中からプロジェクトチームを結成して事業を行っていただきます。役職や委員会という壁を超えたチームを作ることで、メンバー全員が一丸となって活動でき、より高い価値を生み出す組織になることができると考えます。

 

拡大特命理事

 加賀青年会議所のメンバー数は、この10年間で半減しており、メンバーの拡大は組織存続のための最大の課題であるといっても過言ではありません。

では、メンバー拡大は何のために行うのでしょうか。もちろん、存続のためやよりスケールの大きな事業を行うためでもありますが、私は「メンバーのため」が最も大きいと考えます。「人は人によって成長する」とよく言われるとおり、多種多様なメンバー同士が互いに刺激し合う場が青年会議所です。人×人の掛け算の数が増えるほど、無数の化学反応が起こり、それぞれの成長に繋がり、周囲に影響を及ぼすことができるのではないでしょうか。

拡大活動では、体験入会のシステムを活用し、それぞれの光り輝く個性が発揮できる組織であることを知っていただき、我々の活動の魅力を伝えることで、地域で活躍するメンバーを発掘していただきたい。

メンバー交流特命理事

 「多士済々(たしせいせい)」という言葉があります。これは優れた人がたくさんいるという意味を表しており、優れた人が集まっているという意味の四字熟語です。青年会議所とは正にこの言葉がピタリと表す、精鋭たちが集まる組織であると私は考えています。しかし、山積する社会課題を解決するには、個の力だけでは限界があり、互いのノウハウとアイデアを掛け合わせ、新たな価値を生み出す必要があります。

メンバー交流アワーでは、メンバー同士が個性をぶつけ合うことで互いを理解し合い、高め合うとともに、価値を共創するための基礎をつくる機会としていただきたい。

 

〜最後に〜

先行きの見えない今こそ、我々が時代を創る時です。
何が正解かわからない?そんなもの誰もわからない。
だったら自分たちの信じる道を進もうじゃないか。

夢にときめけ、明日にきらめけ

 明るい未来を夢見る者でしか、明日きらめくことができないのです。
不安になればとなりを見ると良い。
となりを見れば素晴らしい仲間がいる。
その仲間と、まだ見ぬ未知のワクワクを開拓していこうではないか。

公益社団法人加賀青年会議所 第58代理事長  吉田 久彦