理事長所信

2020年度 公益社団法人加賀青年会議所

理事長所信

 

〜はじめに〜

宿命に生まれ
運命に挑み
使命に燃える

― 第84代内閣総理大臣 小渕恵三 ―

この世に生を受け宿し命、自らに修練を課し、果敢に道を切り開いて運び、そして生涯を以って自らの役割を果たすために情熱的に命を使う。と私はこれを捉えています。裏を返せば、授かった命を自らの意思や行動、選択でどう運び、世の中の為にどう使っていくかは自分次第という事です。しかし多くの人は、もう駄目だと思うと、「こういう運命なんだ」と言って、言い訳や諦める理由として使っている事が見受けられます。たとえどん底の中だったとしても、使命感を持って「必ず乗り切れる!」と信じて挑戦を繰り返す事で、命を磨き輝かせる事が出来ます。命を紡ぎ、使命を帯び、磨き上げ、たった一度しかない人生という舞台で、自身を主人公として光り輝かせていきましょう。

今未曾有の国難が起きています。誰もが見えない敵に際し、社会経済は混乱し、不安やストレスから人と人との信頼関係までにも大きく影響を及ぼしています。私たちの地域にとっても、観光業をはじめとしたサービス業や製造業などの主要産業をはじめ、関係するサプライチェーンを含め、ほぼ全ての産業が一向に出口の見えないトンネルをさまよい、存亡の機に立たされています。しかしながらもし目の前で起こっている全てのことは偶然ではなく必然である、と仮に立ち止まって考えるならば、我々の人生にとって、目の前で今起きている事はどういう意味を持ち、何が問われているのでしょうか。そしてこの事から何を学ぶべきなのでしょうか。私は変化に対応する前に、まずはそこに向き合う事から始めるという事が重要だと考えます。またこの混乱によって全ての物事に対し存在意義が問われ、考えるミッションが与えられました。果たして自分達の仕事やJC活動は他にどういう影響を与えているのだろうか。そもそもこの世の中に必要なのだろうか。そして本当の豊かさとは何か。真の幸せとは何なのか。こんな時代だからこそ、自らがどうあるべきなのか、自己の果たすべき本分は何か、何を為すべきなのか。またこの先の未来を見据えた場合に何を携え、どこに向かえば良いのか。そんな自問自答の中で、暗中模索する日々が繰り返されている事は間違いありません。

今、我々の頭上には深い闇が広がる夜が訪れています。しかし暗ければ暗いほど星は輝きを増します。そして長い夜が明ける頃、まだ霧深い闇の中から一筋の光を纏い、未来への希望を原動力に全速力で抜け出せる様にこの瞬間からスタートを切っていきましょう。

基本理念

〜時の流れの中で、この時代を創っていく〜

世界経済フォーラムの年次総会、通称ダボス会議の2021年のテーマは「グレートリセット」です。新型コロナウィルス(COVID-19)により今までの価値観ややり方はリセットされます。連日メディアではwithコロナ、afterコロナの言葉に代表されるように、次の時代の予測が議論されています。これからはノーノーマル、いわば普通がない時代に突入します。そして経済の先行きは不透明感が増し、社会情勢は状況が常に変化し続ける不確実性が高い状況になっています。不確実性が高い社会とは、何が起こるかわかりません。敢えて現代を表すのであれば、この普通が無く、不確実性が高い社会が、新しい常態(ニューノーマル)となりつつあります。

この事から私が改めて感じるのは、時間は一方通行であるという事です。もう元の状態にタイムスリップする様な事はあり得ないのです。この事はコロナウィルスに限った話ではありません。長年我々の地域の課題とされてきた、人口減少、少子高齢化一つとっても、少なくとも数年から数十年先までの人口ピラミッドの形は大きくは変わらないでしょう。ましてやこれらの問題はこの地域に限らず日本国全体が直面している課題です。昔を懐かしみ、子どもが減っているから、ただ単に出生率を高めようではないのです。歴史は繰り返されるとよく言いますが、過去と同じ未来は二度と訪れないのです。

では、我々は何をやれば良いでしょうか。まずは確実な情報を収集し、トレンドに逆行するのではなく、しっかりとこの先も起こり続ける事実と向き合い、受け入れる事が必要です。そして受け入れた上で、背景にある問題や課題を整理し、本質的な論点はどこか、本当に今我々がアプローチをしなければいけない所はどこかを見極めなければなりません。変化の激しい時代、ましてや不確実性の高い状況において、しっかりと変化の渦中に身を置き、時には流れに柔軟に身を委ねながらも、問いを立て、仮説を立て、試行錯誤を繰り返す。そして固定観念にとらわれずマインドセットをし、この変化を新たな時代を創るチャンスと捉えチャレンジをしていく事こそが次代のリーダーに求められる姿だと考えます。

~価値デザイン社会を目指して~
内閣府が発表している知的財産推進計画では、「脱平均」、「融合」、「共感」の3つの柱が掲げられています。「脱平均」の今までに無い尖った発想で個々の主体を強化しチャレンジを促す事、分散した多様な個性の「融合」を通じた新結合を加速する事、互いを尊重し、「共感」を通じて価値が実現しやすい環境、増大させていくプロセスを作る事が重要とされています。加賀の様々な個性を可能性と捉え、それらの個性を組合せ、時には外からの知的財産を活かし、共感を通じて増大させるプロセスを我々が意識し、またしっかりと市民に定着させ、この地域ならではの素晴らしい財産、個性をベースに様々な価値を共創する事、目指す事が大切です。

~持続可能な仕組みを構築する~
近年は、過去に類を見ないほどの猛暑、熱波、豪雨などの異常気象が頻発しています。国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)によると、このまま有効な対策を執らずに地球温暖化が進行すると、2100年には平均気温が2000年付近よりも最大4.8℃上昇(RCP8.5シナリオ)すると予測されています。またプラネタリーバウンダリーでは、これら問題の限界値を超えた時の不可逆性を警鐘しています。つまり一度新たな均衡状態(ステージ)に向かうと急激にその変化が加速し、もはや元の状態に戻る事が出来ないという事です。私は、これは何も環境問題に限った話ではないと考えます。限りある資源の中、私たちの今ある生活、経済への要求を満たし、かつ、未来の世代が必要とする資産を損なうことのない社会を考えなければなりません。そして我々の子どもたちに残せる未来にするために、世界がこの先直面する問題や社会の歪みを今修正しなければなりません。
ではなぜ我々Jayceeがやらなければならないのでしょうか。そもそもこれらの社会問題は、経済活動の利潤だけを優先したビジネスでは解決には至りません。一方ボランティア活動でも、その場、その時は良くても持続性が無いので、根本的な課題解決には繋がりにくいです。そこには経済的便益と社会的便益を両立する事が出来る仕組みが必要です。地域の課題をよく知り、向き合い、柔軟な発想でJC活動、そしてこの地域で経済活動を行う若手経済人である我々だからこそ、解決に至る仕組みをそこに形成出来ると考えます。個人の自立性、社会の公共性の協和を目指して、率先して行動していかなければなりません。
また、もともと日本企業は、古くから近江商人の「三方よし」や渋沢栄一の「論語と算盤」という経営理念を大事にしてきました。地方に於いては、その意識は尚のこと強くなります。ニューノーマル時代において、持続可能な仕組みは、我々の様な地方の企業が日本、世界をもリードする切り札となりうるでしょう。

基本方針

~加賀維新の先駆けとなれ~

創立55周年の時に発表した「加賀JC宣言 加賀維新の先駆けとなれ!」には加賀の未来のために多様な行動を起こす人々が溢れるまちを理想像とし、令和という新たな時代の幕開けと共に我々が加賀の新たな未来を切り開く覚悟を示しました。我々が青年らしく尖ったアイデアを起点に、加賀に住む人々と共感を育みながら、どんな社会変化が起ころうとも、様々な事業を展開し社会に運動を通してインパクトを与えていきます。そして、その取り組む姿勢、アウトプットが周りの応援や更に「もしかしたら自分にも何か出来るかも」と誰かの勇気や希望に繋げる事が出来れば、加賀をより良くするための多様な行動やアプローチを作る事が出来ると考えます。混沌とした世の中だからこそ、我々が英知と勇気と情熱を持って、新たな時代の志士としてその先導を切って参ります。

株式市場を見てみると、昨年米国のシリコンバレーに拠点を置く電気自動車メーカー、テスラがトヨタ自動車を株式時価総額で抜く出来事がありました。車の販売規模から言えばテスラはトヨタ自動車の約30分の1にも及びません。もちろん一概には言えませんが、企業もこれまでの売上や事業スケールよりも、「未来に向けて挑戦している」、「もしかしたら未来を変える事が出来るかも」と可能性を感じさせる事の方が重要視される時代なのかもしれません。我々の「加賀を変えたい!」「こうしたらもっと面白い!」という未来にかける純粋なる想いを加賀の人々と共有し、仲間を集い、ロマンを語り合い、共に同じ方向に向けて行動を起こしていく、そして成功も失敗も分かち合い、次の行動に繋げていく、そんな能動的市民を1人でも多くこの地域に作る事が出来れば、我々の目指す明るい豊かな加賀の実現に繋がるでしょう。

 

〜SDGsを推進しよう〜

SDGsは2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17の国際目標と169のターゲットを掲げて、世界中の人々に大規模な行動変容を促そうとするものです。しかしながら、どこか遠くの国での出来事や単なる環境問題への対応としか認識されていない部分も多々見受けられます。まずは「持続可能な社会の実現」に向けて、市民が持続可能な社会の重要性をしっかりと認知する事が重要です。

激動する変化の中、数年先も見通す事が出来ない状況においては、我々は何か具体的な目標からトレースして身の回りの物事を考えてみる必要があります。また未来を見据えた時にミクロからマクロ、ローカルからグローバルへ俯瞰した視点、そして様々な時間軸で考えなければなりません。様々な指標を持つSDGsは我々がこの先を考える上で、1つの重要な道標としての価値を持つと考えます。

また子ども達に残す未来、この地域を良くしたいという共通の目的を認識出来れば、ゴールを目指す為に、様々な垣根を超えて、広くオープンイノベーションを起こす事も可能だと考えます。そしてそれらの取り組みや想いが可視化され、共感を基にエシカルな消費やESG投資が増え、地域社会に経済を伴う形で還元され、またそれが社会的に奨励される様な好循環が生まれれば、人々の心も地域もより豊かになるでしょう。

我々が常につけている17色のバッヂはJC活動時だけ着けるただの飾りではありません。これには、利他の精神で我々の愛する地域、ビジネスをより良くし、明るい豊かな社会の実現へのヒントや可能性が秘められています。

 

〜JC活動のポテンシャルを最大化する〜

「新しい日本の再建は我々青年の仕事である」という覚悟のもと、この国に青年会議所が発足したのが1951年。これまで「ひとづくり」「まちづくり」「教育」「環境」など様々な分野において、先達が挑戦された軌跡があります。仮に事業計画1つ取っても、過去を見れば膨大な数の地域課題へのアプローチを見る事が出来るでしょう。またこの学び舎を巣立ち、ご活躍されるシニアの方々が全国にいらっしゃいます。まずはその素晴らしい財産を知り、JCのネットワークを存分に利用し、JCを使って何が出来るかをメンバー一人ひとりが意識し、JC活動においての価値を最大化させていきましょう。

 

〜組織のアップデート〜

ダイバーシティ&インクルージョンに代表される様に、多様化する時代への変化と共に、我々の組織自体もあり方、やり方を議論し、アップデートを図らなければなりません。受け継がれた崇高な志を軸にしながら、良いものは積極的に取り入れるための議論を進めて参ります。またいつの時代も加賀青年会議所は地域の団体であると共に、メンバーの為の団体でもあります。デジタルトランスフォーメーションを始めとする現代の様々なITテクノロジーを用いて、効率化出来る所は効率化し、時間の質を高めていきます。伝統を重んじ変革を進める私たちだからこそ、変化を恐れず未来を見据え、これからも地域に必要とされ続ける組織を目指して参ります。

 

青少年育成委員会

子ども達は、時として私たち大人の想像もしなかった突飛押しもない発想を行います。私は、これをこの地域における宝の原石だと考えています。なぜなら子ども達ならではの発想には、価値創造におけるアイデアの原点、ヒントになり得る可能性があるからです。ただし原石もそのままでは価値を持ちません。しっかりと原石を見立て、デザインする事、またダイヤモンドの輝きになるまで磨き上げる技術も必要です。『未来創造事業』では、子ども達の様々な可能性を引き出し、子ども達、関わる様々な世代の人々が楽しみながら発想する力を育む事が出来る事業として頂きたい。

また『加賀郷土かるた取り大会』や『わんぱく相撲大会』は加賀青年会議所の長年継続されている代表的な事業です。事業目的を継承し、子ども達にとって心に残る事業とする事はもちろんの事、この先においても、加賀の子ども達にとって素晴らしい機会として残して行ける様、事業の継続性の観点からも、創意工夫を凝らして頂きたい。

 

地域活性化委員会

昨年、加賀市は新たにSDGs未来都市として選定されました。徐々にSDGsという言葉の認知度は上がってはいるものの、まだまだ十分とは言えません。SDGsの考え方を広く市民の方々に知って頂き、共に加賀の未来について考える機会を設け、ゴールを共有し、SDGsを軸に広くオープンイノベーションを起こしていく土台を作って頂きたい。

このまま日本の未来は都市集中型で本当に良いのでしょうか。確かにひと昔前まで、地方や田舎というものに対しネガティブなイメージが少なからずあった様に感じます。しかしながらコロナウィルスの影響が様々なやり取りをオンライン化し、リモートワーク化を加速させた様に、テクノロジーは地理的距離を超えたボーダレスなコミュニケーションを可能にしました。またSociety5.0を始め様々なデータ、テクノロジーがオープンソース化され、もはや地域における立ち位置は、地方or都市部の二極化だけではなくなりました。ましてや都市間競争における相対評価でもありません。そもそもそれぞれの地域がどうあるべきかが問われています。『地域創造事業』では、尖ったアイデア、新しい価値観を起点とし、共感を軸に、地域内外の多様なステークホルダーを巻き込み、共に協働し、地域の新しい価値を共創する事業として頂きたい。

 

JCマッチング委員会

会員拡大は何のために行うのでしょうか。組織の存続はもちろんの事、一般的にはメンバーが多いLOMは規模の大きい事業を展開出来ます。ではそもそも入会対象者やメンバー個々人がJC活動を行うメリットは何でしょうか。社会貢献、自己成長、人脈作りと、当然人によってそれぞれ目的は違うと思いますが、私が考える大切な事は、共に価値を作り上げる事だと思います。何もJCの事業に限った事だけではありません。時には地域活動において、また時にはビジネスにおいて、共に想いやノウハウ、人脈を共有し、更なる高みを目指す。つまりメンバーそれぞれがお互いを知り、個々の持っている魅力や価値を認識、結合させ、新たな価値の創造を目指していく事こそが、JCの醍醐味であり、ひいては、加賀青年会議所の価値を高める事に繋がると考えます。

また価値の源泉は人やアイデアの掛け算です。入会対象者には、JCの良さに触れる機会を多く設け、しっかりと対象者にタッチポイントから入会まで導ける戦術を構築し実践して頂きたい。その上で、JCに入ると何か出来るかもしれないという可能性を感じて頂きたい。JC内外でたくさんのマッチングを行い、新しい価値の共創の一助として頂きたい。

 

財政特別理事

我々の事業はメンバーからの会費で支えられています。その貴重な会費を相対評価、費用対効果を見極め効果的に使われるように管理して頂きたい。そして監督官庁の窓口として正確な届け出及び透明性のある財政運営を行って頂きたい。

また本年は公益社団法人としてスタートして9年目に入ります。公益法人制度等による現状におけるメリット、デメリットを整理し、他LOMでのクラウドファンディングを始めとする様々な資金調達の取り組み事例をメンバーと共有し、加賀青年会議所のこの先を見据えた議論が出来る様にして頂きたい。

 

事務局

組織の中枢として、諸会議をはじめメンバーの時間を多く預かる事務局には、規律ある正確な組織運営を行って頂きたい。議論を交わらせる理事会では、ルールの徹底と効率化を図り、しっかりと有意義で質の高い時間となる様、心がけて頂きたい。定例会は全てのメンバーが月に一度集う機会です。全ての機会を一期一会と捉え、礼儀と節度を保ちながらも楽しく、メンバー同士の交流が出来る様、設え運営して頂きたい。

また加賀青年会議所の想いや魅力を外部向けにデザインし、様々な情報発信を仕掛けて頂きたい。『新年発表会』では、しっかりと今年度のスタートに相応しい決意を示す事業にして頂きたい。また『卒業式』では、卒業生のこれまでの功績に敬意を示すとともに、想いを受け継ぐ最高の舞台となる様、事業構築をして頂きたい。

 

〜最後に〜

いよいよ我々の時代が来た。

もうそろそろ未来はどうなるのかを人に聞くのはやめよう。

未来は自ら思い描き、目指し創るものだ。

そして明日は一番近い未来。

明日さえ変えてやろう!と言う想いがその先の未来を変える。

さぁ新しい未来に向けて出発しよう。

 

新しい変化を楽しみながら駆け抜けよう。

何も決まっていない事に喜び、たくさんの仲間と楽しく走れる様に。

一生懸命に夢中になって駆け抜けよう。

その姿勢、足跡が次の世代の道標となれる様に。

愛する地域、事業、家族のために駆け抜けよう。

いつの日か、あの年があったから今の自分があると言えるように。

公益社団法人加賀青年会議所 第57代理事長  小新 知治